「運命と折り合いをつける大切さ」 おすすめ度:
投稿日:2008-08-28
日本もタイもお米の国。
二世代前のほとんどがお百姓さんなのも同じ。
だが、本書によれば、
「食べていくだけなら田植えに15日刈り入れに15日。
年間1ヶ月農作業するだけでいい」
と言うのがタイ式米作りの思想だそうだ。
米作りに八十八の手間隙をかけ、
その過程ですら惜しみなく勤勉さを注ぐのが日本人。
同じ百姓出身とはいえ、
これではいろいろな面で考え方のミゾは埋まるはずがない。
日本人が勤勉で神経質であるように、
農村のタイ人ものんびりと寛容にならざるを得ない。
埋められないミゾは、折り合いをつけるに限る。
タイ北部チェンライ県の田舎の
HIV患者の普通の生活が描かれている本書。
死そのものが日常となっているタイ北部社会では、
その手前側に延長された線上にあるエイズもまた、
特異な恐怖の存在から日常の風景となりつつある。
その日常の風景からはエイズの悲劇と言うよりも、
無常に生きるタイ北部の人のメンタリティーが感じられる。
HIV感染者も非感染者もいずれ死ぬ。
エイズであろうとなかろうと
人は死ぬそのときまで、
何とか生きなければならない。
死がいつになるのかだれもわからないのも実は同じ。
命を奪う原因が明示されているかどうかの違いだけである。
人は、ただその運命に折り合いをつけて、
今を生きることしかできない。
だから、
本書の主人公ワライさんのように
うまく運命と折り合いをつけていきたい。
と、そう思う。
ことに、異文化の中で生きる自分としては切実に・・・・・・